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2025.01.10

学生の活動

新規AFM技術によって組織内部の剛性マッピングを実現 ―皮膚内部のかたさ分布が成長過程で逆転することを解明―

 ナノ精密医学・理工学卓越大学院プログラム履修者の詩丘伊月さん(大学院新学術創成研究科ナノ生命科学専攻博士後期課程1年)は,共同研究グループでの研究成果として,生体組織内部のかたさ(剛性)の空間分布を測定する新規の原子間力顕微鏡(AFM)技術の開発に成功し,皮膚内部のかたさ分布が成長過程でダイナミックに変化することを解明しました。
 赤ちゃんと大人の肌の感触の違いは,組織内部の剛性に起因すると考えられます。しかし,これまでは生体組織内部の剛性の空間分布を適切に測定する技術がなかったため,その詳細は知られていませんでした。
 本共同研究グループは,AFMを用いた新しい測定技術を開発し,組織内部の剛性分布を取得することに成功しました。この技術を用いてマウスの皮膚内部の剛性分布を測定したところ,誕生前や生後間もない時期には皮膚の内側が外側よりもやわらかいのに対し,成体では逆転することを見出しました。また,コラーゲンが皮膚の剛性を決定する主要な成分の一つであることを明らかにし,誕生後の皮膚内部で急増するコラーゲンが成長過程の剛性変化を引き起こしている可能性が示唆されました。今回開発した測定技術は,幅広い生命現象の理解に役立つとともに,再生医療や組織工学の分野にも貢献すると期待されます。

【詩丘さんのコメント】
 本研究を論文という形で公表できたことを嬉しく思っています。本研究では皮膚組織断面の試料作製に苦労しましたが,最終的には興味深い結果が得られ,根気強く取り組んだ甲斐がありました。初めて筆頭著者として携わらせていただき分からないことも多い中,指導していただいた奥田先生,論文の完成にご尽力いただいた共著者の皆様,議論に参加してくださった研究室メンバー,支援してくださった卓越大学院プログラム,そして支えてくれた家族に,この場を借りて感謝申し上げます。

金沢大学Webサイト ニュース掲載

金沢大学ナノ生命科学研究所Webサイト ニュース掲載

研究の様子

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