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2023.06.09

学生の活動

履修者が,カルガリー大学(カナダ)での研究留学及び国際学会での発表を実施しました。

 プログラム履修者が,2023年3月から4月にかけて,カルガリー大学(カナダ)での研究留学及び現地で開催された国際学会での発表を実施しました。履修者の体験を紹介します。

先進予防医学研究科 先進予防医学共同専攻 博士課程 4年 谷田 亮太さん

 私は卓越大学院プログラムのサポートを受け,カナダのバンフで開催されたKeystone symposia(Metabolic and Molecular Mechanisms of NAFLD/NASH)での学会発表とカルガリー大学での研究留学を実施してきました。国際学会への参加,研究留学の順に,これらの活動を経て感じたことを述べたいと思います。

• Keystone Symposia (Metabolic and Molecular Mechanisms of NAFLD/NASH)に参加
 私は研究留学期間にKeystone Symposiaという国際学会に演題投稿し,現在の私の研究テーマについてポスター発表を実施してきました。当該国際学会への参加は,今後研究者として活動したい気持ちを後押しするような刺激的な経験でした。
 Keystone Symposiaは非常に歴史ある学会で,各分野における一流の研究者たちが顔を揃える学会です。そのため,これまで絶対に話す機会はないであろうと思っていた,分野最前線の研究者たちとポスター発表の時間に議論をし,アドバイスを頂いたりするという大変貴重な体験が出来ました。本学会のポスター発表は,夕食の延長線上にポスター発表の時間が設けられており,飲食をしながらの発表および閲覧をする形式で実施されました。このような形式は日本ではあまり取り入れられておらず,国際学会ならではと感じました。実際にこの形式が,研究者間の議論を加速させるだけでなく,議論へ参加することへの垣根を下げる働きをしており非常に良い形式であると感じました。
 私は研究者を目指している学生の方々には,機会があれば是非,学生時代に国際学会に参加してほしいと思います。それは分野における最先端の研究をトレース出来るのはもちろんですが,先に述べたようにトップサイエンティストとの議論をはじめ,日本の国内学会では経験できない事が沢山有るからです。私は,学生という質問のし易い時期に,トップサイエンティストと話す機会が持てたことはとても価値のあることで有ると感じています。自分の研究に興味を持ってもらう事が出来れば,将来トップサイエンティストのもとで学ぶチャンスを得られるかもしれません。

• カルガリー大学での研究留学
 私は,北米最大級のガン研究所を有するカルガリー大学の教授,Karl Riabowl氏率いるリサーチグループにて研究留学を実施しました。今回の研究留学は,実働時間約10日間という非常に短い期間ではありましたが,カルガリー大学の研究に対するマインドセットを知る事の出来た,大変良い機会になりました。
 私がお世話になった巨大なガン研究グループの雰囲気は,全ての研究者や学生が「ガンのバイオロジーを超えて,生命の謎を明らかにする」という共通の目標に向かって,研究室・研究領域関係なく,チームカルガリーとしてそれぞれの研究に励んでいるという雰囲気を肌で感じました。主観ではありますが,このような大きなチームとして生命の謎の解明に取り組むという姿勢はまだ日本の大学では浸透しきっていないと思います。
 カルガリー大学では,自分の専門領域を超えて研究のサポートをする,といった研究者および学生間の交流は日常に溶け込んでおり,非常に研究室間の垣根が低いと感じました。実際に私自身の研究活動の際にも,他研究室のスタッフのサポートを受けるなど,非常に研究しやすい環境で研究活動を行なう事ができました。この様な雰囲気が全ての海外研究室で共通しているとは言い切れませんが,少なくとも日本では感じたことが無い研究に対する開放的かつ研究を楽しむ余裕を感じました。
 研究レベルに関して言えばもちろん日本も負けていません。しかし,研究に対するメンタリティの違いは明らかでした。この様な内面的な違いについては,今回の留学がなければ気づく事が出来なかった事であると感じております。よって実際に現地に行く醍醐味は,言語化出来ない事を学べる点であると思います。

 海外研究留学は,数値化や言語化出来ない研究室の雰囲気やトップレベルの研究者の研究に対するマインドセットなどについて,学生時代に直接肌で感じ,学ぶ事のできる唯一の機会だと思います。
 私は今回の研究留学活動を経て,世界のあらゆる人々と共に「生命の謎」の解明に取り組む事のできるグローバルな研究者になりたいと強く思うようになりました。そしてこの海外研究留学は,卓越大学院プログラムのスタッフを初めとする様々な方々のサポートがなければ到底実現する事はできませんでした。この場をお借りして私の海外研究留学をサポートして下さった皆様に,心より感謝申し上げます。

研究留学を実施したカルガリー大学
国際学会Keystone Symposiaが開かれた会場(カナダ・バンフ)

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