2021.02.19
学生の活動
プログラム履修者が「スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ」で受賞!大学発ベンチャーを起業!
石川県・石川県産業創出支援機構が開催した「スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2020」において,ナノ精密医学・理工学卓越大学院プログラム履修者の小林和樹さん(自然科学研究科博士前期課程1年)らの「人工ブラックダイヤモンドの製造技術開発」に関するプランが優秀起業家賞 及び 学生賞を受賞しました。
このプランは,薄膜電子工学研究室の技術を応用して,高品質なブラックダイヤモンドを製造販売するというものです。天然のブラックダイヤモンドと比べて高品質で大粒のものを作成できる上,表面を黒くしただけの既存の人工ダイヤと違い芯まで真っ黒なのが特長です。将来的には,宝石事業で蓄積したノウハウを応用し,優れた性能が期待される半導体デバイスの研究開発及び製品化を目指します。
小林さんらは,このプランをもとに「株式会社 Kanazawa Diamond」という会社を設立しました。
小林さんのコメント:
私がこのように起業に至ったのは,研究室の技術を,何か別の事に役立てたいと思ったことと,半導体としてのダイヤモンドに将来性を感じ,早急な社会実装を目指したいと思ったからです。そして現在行っている宝石事業と,宝石事業で生まれた資金や技術や生産基盤を生かす半導体事業を考案しました。
これらの事業の成功によって,3つの社会貢献が可能だと考えています。
1つ目は,天然ダイヤモンドの採掘による社会問題を解決することです。過去に,天然ダイヤモンドの採掘場所をめぐる紛争や,採掘での劣悪な労働環境や環境破壊が社会問題となりました。「ブラッドダイヤモンド」という映画でもその悲惨さが取り上げられており,この問題の深刻さが描かれています。またこの課題は現在注目されているSDGsにもつながる事柄です。私たちは本事業を進めることで,現在拡大中であるラボグロウンダイヤモンドの市場と認知をさらに拡大させ,このような問題を二度と引き起こさないような社会を創生できると考えております。
2つ目は,金澤の町の経済活性化と地域活性化です。金澤は「モノづくりの町」「工芸の町」としてよく知られています。そんな金澤から,また新たな技術を用いて,新たなモノづくりが行われていることが周知されれば,金澤という町のブランディングの向上につながるのではないかと考えております。また,金澤の工芸品とコラボレーションした商品を生み出すことで,経済活性化及び地域活性化につながるのではないかと考えており,それが実現できると確信しています。
3つめに,ダイヤモンド半導体デバイスの社会実装です。我々は将来,本事業で培うダイヤモンド成長技術を基盤として,薄膜電子工学研究室と共に目指している半導体用途のダイヤモンド基板の作製を行いたいと考えています。ダイヤモンドは究極の半導体材料として注目されており,持続開発可能社会の実現に必要となる省エネルギー化を達成するキーデバイスとしての活躍が期待されています。研究を研究のままで終わらせずに,必ず産業化まで到達させます。
古来より人を魅了する美しい美術品から将来の地球環境の保全に貢献する科学技術まで,ダイヤモンドが有している究極の特性を余すことなく世の中に広めていくことが私たちの使命であると捉えています。この使命の第一歩となるのが,この「世界初の単結晶ブラックダイヤモンド事業」であると考えています。
最後に,徳田先生をはじめとする研究室の先生方,研究室のメンバー,サポートしてくださる金沢大学の方々,関わる全ての方々に感謝申し上げます。
スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2020 Webサイト:
株式会社 Kanazawa Diamond Webサイト