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両末端に任意の官能基を有するらせん状高分子の簡便な合成法の開発に成功!

2021.06.01
学生の活動

  ナノ精密医学・理工学卓越大学院プログラム履修者の越前健介さん(新学術創成研究科ナノ生命科学専攻博士前期課程2年),谷口剛史助教,前田勝浩教授らの研究グループは,代表的な合成らせん高分子の一つとして知られているポリ(フェニルアセチレン)誘導体(PPA)について,これまで合成が困難であった分子量が精密に制御されしかも両末端に任意の官能基を有するPPAの簡便な合成法を開発しました。本研究成果は,2021年2月18日(米国時間)に米国化学誌『Journal of the American Chemical Society』のオンライン版に掲載されました。

研究概要

 高分子鎖の両末端に異種または同種の官能基を導入したポリマーはテレケリックポリマーとよばれ,自在に分子設計が可能な前駆体ポリマーなどとして多方面への利用が期待されています。ポリスチレンのような汎用のビニル系高分子については,その合成法がすでに確立されていましたが,PPAに関しては,末端に官能基を導入すること自体が困難でした。最近,前田教授らの研究グループは,フェニルアセチレン類の重合触媒として,ボロン酸誘導体とロジウム錯体を組み合わせた新しい多成分触媒系を開発しました。本重合触媒を用いると,分子量が精密に制御され、開始末端にボロン酸誘導体由来の任意の官能基を有するPPAを合成することができるようになりました。しかし,もう一方の末端(終末端)にも官能基を導入したテレケリックポリマーの合成は依然として達成されていませんでした。
 今回の研究では、上記の多成分触媒を用いたフェニルアセチレン類の重合において、重合が完遂した後に任意の官能基を有するアクリレートもしくはアクリルアミドを添加するだけで,終末端の官能基化が可能であることを見出し、テレケリックPPAの合成を世界で初めて達成しました。
 本成果によって、両末端の自在設計が可能となったため、PPAの分子設計の幅を飛躍的に広げることができました。今後は,本技術により合成可能なテレケリックPPAを基盤として,液晶材料,分離膜,光電子材料,キラルマテリアルなどへの応用が可能な新しい機能性高分子の開発が大きく進展すると考えられます。

前田教授 のコメント:

 越前君は,学士課程4年時に本研究室に配属されて以来,常に探究心を持ち粘り強く研究テーマに取り組んできました。本研究は,本人が強い自主性と鋭い観察眼を持って研究に取り組み,献身的に実験を行って得られた膨大な実験データに基づく成果です。また,日々の研究活動で疑問に感じたことを徹底的に追求する向上心には注目すべきものがあります。現在,越前君はこの成果をさらに発展させた新しい研究を展開しており,創意工夫を重ねることによって非常に興味深い成果を得つつあります。今後の成果にも大いに期待をしています。

越前さん(左)と前田教授(研究室にて)

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