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DNAがシャクトリムシダンス?遺伝子が核に収納される第一歩の可視化に世界で初めて成功!

2021.06.01
学生の活動

 金沢大学大学院新学術創成研究科ナノ生命科学専攻博士前期課程2年/ナノ精密医学・理工学卓越大学院プログラム履修者の西出梧朗,ナノ生命科学研究所のキイシヤン・リン特任助教,ナノ生命科学研究所/新学術創成研究機構のリチャード・ウォング教授らの共同研究グループは,高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)により,ヒストンタンパク質の一種ヒストンH2AがDNAにより包まれる過程を,ナノスケールかつリアルタイムで可視化することに世界で初めて成功しました。

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西出さんのコメント:

 今回私は,生命現象として一般的に知られていながらも,その様子を誰も見たことがなかった「DNA凝縮」の第一歩を,HS-AFM(高速原子間力顕微鏡)を用いて世界で初めて可視化することができました。この研究成果は,ゲノム―タンパク質間の相互作用動態が鍵となる生命現象,例えばヒストン修飾による遺伝子発現調節,がんや薬剤・放射線治療耐性病変への関与が報告されるDNA修復などの,これまでの生物物理学的な構造研究のみではわかり得なかった詳細なメカニズムの解明につながることが期待されます。
 昨年4月から6月の期間,新型コロナウイルスの影響により研究を中断することとなり,研究室で実験を行うことはできませんでした。しかしその期間を無駄にせず,指導教員とメールやビデオ通話で議論を交わしました。それにより新たな研究の可能性や課題を発見し,研究活動再開後に良いスタートを切ることができました。実験はいつもうまく行くという訳ではありませんでしたが,指導教員や,他の先生方と議論し,試行錯誤した結果,今回このように研究成果を論文として発表することができ,とても嬉しいです。
 最後に,Wong先生をはじめとする研究室の先生方とメンバー,研究活動に協力してくださった他の研究室の先生方,日々の研究生活をサポートしてくださる金沢大学と両親に,この場を借りて感謝申し上げます。

Wong教授のコメント:

 地元石川県出身の西出君は,大学3年生の時にプレ卒研生として私の研究室に配属されました。彼は私の研究室の研究テーマである,細胞核を包む核膜の穴「核膜孔」と,その真下にある「クロマチン」に興味を持ち,本学が日本でリードする「高速原子間力顕微鏡解析技術」を用い,これらのダイナミクスを明らかにすべく研究を進めてきました。研究を始めてから約3年間,紆余曲折ありながらもようやく論文にできたことはとても感慨深く,偏に彼の研究推進力と努力の賜物であると感じています。この成果は,私たちがもつ“高速原子間力顕微鏡による細胞小器官と人工核膜の観察のための試料調製技術”の有用性を示す非常に意義のあるものです。
 昨年,コロナ禍により実験を進めることができなくなりましたが,西出君は私や当究室のLim特任助教と密に連絡を取り,怠ることなく情報収集を行い,研究計画を練り直し,これが登学可能となった後のスムーズな研究再スタートにつながりました。またこの間、in silico解析技術も身に着け,羽澤准教授の投稿中の論文にも貢献しています。彼の長所は,当研究室の教員のみならず,国籍も異なる他分野の先生方とも積極的にコミュニケーションを取り,助言を素直に受け入れ,知識の蓄積と技術の研鑽への努力を惜しまない点です。これは,彼に研究者にとって必要不可欠な「知的好奇心」「探求心」「チャレンジ精神」があるからこそであり,私は彼の将来がとても楽しみです。現在,彼は新たに進化型分子工学的手法を用いた核膜孔・クロマチンの時空間ダイナミクス研究を行っています。彼に経済面における心配なく,知識提供の場と研究に励む環境を与えてくださった卓越大学院プログラムに感謝いたします。

Wong教授(左)と西出さん

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